岸田文雄首相岸田文雄首相 Photo:Sean Gallup/gettyimages

岸田政権は、今国会に数々の売国・壊国法案とも呼ぶべき法案を提出している。その一つに、食料・農業・農村基本法改正案がある。この法案がどのような問題をはらんでいるかについて、簡単に解説したい。(政策コンサルタント 室伏謙一)

食料安全保障確保とは
正反対の改正内容

 1月26日に召集された第213回国会(常会)、冒頭から質疑の中心となったのは、自民党の派閥パーティー収入記載漏れ問題であった。ちまたでは自民党「裏金問題」とされ、さも汚い金を巡る問題かのように報じられ、論じられた。そして、政策集団として存続することとした麻生派および茂木派を除く各派閥が解散を決めるや、立憲民主党を中心とする野党は一層攻勢を強め、テレビ入りの衆議院予算委員会の審議は、この問題一色のような様相を呈していた。

 さて、そうした中で、岸田政権は、今国会に数々の売国・壊国法案とも呼ぶべき法案を提出し、また、今後も提出しようとしている。

 その一つに、食料・農業・農村基本法改正案がある。同法案は、2月27日に閣議決定、国会に上程され、3月26日に衆議院で審議入りした。大手メディアの報道では、今回の改正は我が国の食料安全保障の強化につながるものであるとされ、これに関心のある多くの国会議員や一般国民もそのように捉えているようである。しかし、その実態は、我が国の食料安全保障の確保とは正反対の改正内容なのである。

 そこで、本稿では、本法案がどのような問題をはらんでいるかについて、簡単に解説したい(なお、条文のレベルにまで落とし込んだ詳細な解説にご興味がある方は、筆者のオンラインサロン「月刊霞が関リークス」をご参照いただきたい)。