岸田文雄首相が打ち出した減税案が不評だと話題になっている。確かに、誰か悪意のある人がアドバイスしたのではないかと思うくらい多方面にダメだ。減税自体は国民も求めているのに、岸田首相は何を間違えているのか?(経済評論家 山崎 元)
不評の「岸田減税」
支持率低下で最低に
岸田文雄首相の内閣支持率が低下している。各所の調査で下落が目立つが、分かりやすいのは10月27〜29日にかけて行われた日本経済新聞社とテレビ東京による調査だろう。支持率は33%と岸田内閣が発足して以来最低となり、不支持率は59%にも及んだ。調査の対象日は岸田首相が減税案を打ち出してからのものであり、不支持の主な理由は「政策が悪い」(52%)である。
どうやら、彼が独自に打ち出すことにこだわった減税案が不評であるらしい。物価高対策としての所得税減税が「不適切」とする意見が65%にも上っている。
一方、日経新聞の同調査で、上ブレした税収の使い道について聞いたところ、「減税」が35%で最も多く、「防衛や少子化対策など政策の財源」が26%、「国の債務の返済」が20%、「給付金」が14%と続いたという。減税と給付金を合わせると49%になり、現金を国民に渡すことに関しては一定の支持があり、少なくとも一致した強い反対があるわけではない。
首相は何を読み違えているのだろうか?