皇室と英王室は
世界において別格

 ともかく、日本と英国の皇室・王室は、世界のロイヤルファミリーの中でもさまざまな意味において別格といってよい。

 日本の天皇の肩書は“エンペラー”だから、英国国王の“キング”より格上という人もいるが、それは誤解だ。神聖ローマ帝国の皇帝とその領邦内の国王(例えばバイエルン国王)であれば上下関係だし、欧州内の国の王では格の違いが意識されることもある。実際、ドイツ、オーストリア、ロシアの皇帝との関係で格下の肩書を不満に思ったヴィクトリア女王のために、ディズレーリ首相がインド皇帝という称号を創設してその冠を差し出したこともあった。

 例えば大国の国王と小国の皇帝なら、いわば大企業の副社長と中小企業の社長との関係みたいなもので、上下関係ではない。

 中央アフリカのボカサ皇帝の退位後は日本の天皇が世界でただ一人、エンペラーを名乗っているから、その肩書になんとなく有り難みはある。だが、君主の序列は、エンペラー、キング、スルタン、アミールなどといった肩書にかかわらず、就任順でのみ決まる。

 従って、デンマークのマルグレーテ前女王は欧州の君主で序列第一位だったが、フレデリック新国王は最下位である。