天皇、皇后両陛下が
6月下旬に英国訪問か
天皇、皇后両陛下が6月下旬に、国賓として英国を訪問される方向で調整が進められているとの観測が報道されている。
関係者によると、日程は1週間程度で、バッキンガム宮殿での歓迎行事や晩さん会への出席などが想定されているほか、両陛下が共に留学経験のあるオックスフォード大学や、天皇陛下が留学中に研究していたテムズ川の水運関連の施設への訪問も検討されているという。
私は、外務省と宮内庁に勤務していた篠塚隆・前モロッコ大使と共著で『英国王室と日本人』(小学館)という本を昨年、書いている。その内容も踏まえて、英国ご訪問の意義や、より実りあるものにするためにどうするべきかなどについて、書いてみたい。
今回の両陛下の英国訪問は、2020年春にエリザベス女王の招きで、代替わり後初の外国訪問として計画されたものだが、新型コロナウイルスの感染拡大のために延期されていた。
そうした中、エリザベス女王が亡くなったため、22年9月、国葬出席のために両陛下が英国を訪問された。
日本の両陛下と英国の国王(女王)夫妻の相互訪問については、1971年に昭和天皇と香淳皇后が欧州歴訪の一環として英国を訪問。75年にはエリザベス女王とフィリップ殿下が訪日され、国民から大歓迎された。
その後は、平成になって、現上皇さまと上皇后美智子さまが3度にわたって訪英されたが、エリザベス女王の訪日はついになかった。
エリザベス女王は、精力的に海外訪問をされており、英連邦のカナダへの23回、オーストラリアへの16回は別にしても、米国、フランス、ドイツはそれぞれ6~7回訪問され、タイやネパールも2回訪問されているので、上皇さまのご在位中に訪日いただく機会がなかったのは残念だった。ただ、最晩年のエリザベス女王の外遊は極端に減っており、令和になってからの訪日は望み薄だった。