「ラーメン1杯1000円超え」はありか?大衆店廃業ラッシュの中、値上げに向き合う消費者の“審判”物価高騰などでラーメン店の廃業が相次ぐ中、「1000円の壁」が取り沙汰されるようになった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

安い、うまい、腹がふくれる。それに加えて、店はどこにでもある。だからこそラーメンは一般庶民から愛されてやまない。しかし物価高騰の波はここへも押し寄せ、ついにラーメンの価格帯が1000円を超えるか否かの時代に突入した。消費者たちはこの事態を、どのように受け止めているのか、またどう向き合っていくべきなのか。(フリーライター 武藤弘樹)

安い、うまい、庶民の味方
ラーメン店の倒産・休廃業が過去最高に

 ラーメンの値段に関して、今改めて注目が集まっている。東京商工リサーチが行った調査で、2023年のラーメン店の倒産が45件、休廃業が29件となり、過去(15年間のうち)最多を更新した。

 同レポートはその主な原因として「コロナ禍中にあったゼロゼロ融資などの飲食業に対する手厚い保障が今はなくなったものの、客足はコロナ禍以前に戻らなかった。加えて最近の物価高と人件費上昇などのコストアップで資金繰りが厳しくなった」といったことを挙げている。

【参考】
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198316_1527.html

 こうした状況なので、ラーメン店は値付けの再考を迫られていて、「1000円の壁」が値上げするしないに関わらず、どのラーメン店でも意識されるようになったようである。1000円を超えると客は「高い」と感じて離れていってしまうのではないか、しかし経営を成り立たせるためには1000円以上の値付けが必要なのではないか――。

「1000円の壁」に対するラーメン店の考え方や対応は様々であり、そこには経営戦略を超えた店主の「ラーメン哲学」が強く現れていて興味深い。

 これについてはいくつかの代表的なパターンを紹介するとして、「1000円の壁」を前にして新たなスタンスの決定を迫られているのは消費者も同様である。かつて1000円以下で食べることができたソウルフードたる日本のラーメン、その値段が、ちょっといいランチ程度の価格帯に突入しようとしているのである。消費者動向のアンケートを参考に、消費者が「1000円の壁」にどう向き合っていくのかを見てみたい。