株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。
本稿前半では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、「株の短期トレードで勝てる人の共通点」について教えてもらった。さらに本稿後半では、特別に『株トレ』から一部を抜粋して紹介する。

株トレPhoto: Adobe Stock

短期のトレードに向いている人とそうでない人

──『株トレ』は株価チャートのクイズを通じて、株で勝つための技術を学べる本ですが、チャートを活用した短期のトレードに向いているはどのような人だと思いますか?

窪田真之(以下、窪田):私は25年間日本株のファンドマネジャーをやってきて、いろいろなタイプのファンドマネジャーを見てきました。

 その中で勝ち続けるファンドマネジャーの共通点を1つ上げるとすれば、「常にゲーム感覚でトレードを楽しんでいる」ことです。彼らは、負けた時でも「やられた!」と笑って失敗をひきずりません。

 反対に、いつも真面目で「お客様の命の次に大切なお金を預かっている」と責任感の強いタイプは、往々にしてプレッシャーに押しつぶされてボロ負けします。

 もしあなたが、「チャートを見て、売買のタイミングを考えるのが楽しくて仕方ない」という人であれば、株のトレードに向いているかもしれません。

 買っても負けても楽しめる金額で、何度もトレードを繰り返し、経験を積んでいってください。

「チャートを見てもつまらない」「仕事や家庭が忙しくて、株を売買するタイミングなんか考えたくない」という人は、短期のトレードではなく積立投資だけにすべきです。

ゲーム感覚で楽しめる金額で、トレードの経験を積む

──初心者はどれくらいの金額から始めたらいいでしょうか?

窪田:買った株が下落した時に、躊躇なく損切りできる金額から始めてください。

「このお金を失いたくない」と恐怖を感じるような金額でポジションをとってしまうと、速やかな損切りを実行できず、その後大きな含み損を抱えてしまいます。

 株のトレードは常に勝てるものではありません。トレードが上手い人でも、勝ったり負けたりを繰り返します。

 そのため、負けた時には素早く損切りして、損失を小さくすることが何よりも重要です。株で儲けている人ほど、ためらいなく損切りします。

 あなたは、100万円投資した株が10%値下がりしたら、「やられた!次がんばろう!」と笑いながら損切りできますか?

「それは無理だ」と思うならば、100万円はあなたにとって、大き過ぎるポジションです。

 では10万円投資した株が10%値下がりしたら、笑いながら損切りできますか?

「それも無理だ」と思うならば、10万円もあなたにとって、大き過ぎるということです。

 それでは1万円投資して10%下がったら、笑いながら損切りできますか?

 1,000円の損です。「それくらいならば損切りできる」「でも笑いながらは無理かな」ならば、1万円から始めてOKと思います。

 くれぐれも、ゲーム感覚で楽しめる金額に留めてください。金額が大き過ぎると「恐怖」や「欲望」が邪魔して、合理的な判断を下せなくなってしまいます。

株トレのクイズに挑戦!

 F社の1ヵ月半の日足ローソクチャートです。

 売り、買い、様子見、どうする?

このチャートの株、売り、買い、様子見、どうする?

正解は…

 正解は、売り。

 F社のその後3日の動きをつけたのが、以下のチャートです。

F社のその後3日間のチャートF社のその後3日間のチャート

 F社は値動きが乏しいところから、いきなり大陰線を出して急落しました。1日で383円(15%)下がる暴落です。とんでもない悪材料が飛び出したに違いありません。

 大陰線を打ち消す「さらに長い大陽線」がすぐに出ない限り「下落モメンタム」は消えません。翌日に出ている大陽線は、前日の大陰線より短く、下落モメンタム(勢い)を消すことはできません。

 次に「上ヒゲつき陰線」が出ています。長い上ヒゲがついていて、戻り一服(株価の上昇が止まること)の可能性が高いと感じさせます。

 目先の想定レンジは、チャートの通りです。売りと判断すべきでしょう。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)