新社会人にとって最重要なスキルをひとつだけ挙げるならそれは「言語化力」である――。文章や話し方の専門家であり、話題の書籍『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』の著者でもある山口拓朗氏はそう指摘します。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」人は言語化力が欠けているのです。本稿では、著者・山口氏が同書のエッセンスを盛り込みながら、新社会人の方に向けて、言語化の重要性や言語化がうまくなるコツなどをお伝えします。
「質問をした瞬間」にすべてがバレる!
近年、社会人の言語化力が低下してきている、と言われています。とくに質問をする能力は、新入社員が仕事を効率的に身につけるうえで欠かせないスキルです。
質問力が低ければ、必要な情報を集めることができませんが、質問力が高ければ、そのつど必要な情報をスピーディに集め、仕事を前へと進めていくことができます。
言語化力が乏しい人の質問は、しばしば漠然としています。たとえば、先輩に対して、「あのー、プロジェクトXの件、どうしたらいいでしょうか?」のような、意図が不明瞭な質問をし、先輩をイライラさせてしまいがち。
おそらく先輩は「どうしたらいいって……どういうこと? 何を知りたいの?」と返すことになるでしょう。
一方、言語化力が高い人の質問は具体的です。たとえば、「プロジェクトXの施策について先輩の見解をうかがいたいです。ひとまずAとBの方法を考えてみました。Aのほうがコストはかかりますが、商品のPR効果は高いと予測しています。先輩ならどちらを選びますか?」という具合です。
意図が明確なこの質問であれば、先輩も答えやすいはず。おそらく有益なフィードバックを得られることでしょう。
漠然とした質問には、漠然とした答えしか返ってきませんが、具体的な質問には、具体的な答えが返ってきます。ことビジネスシーンでは、仕事を前に進めるための「具体的な情報」が必須。具体的に質問できるということは、仕事の現状を把握できている、ということでもあるため、上司や先輩からの信頼も得やすくなります。とりわけ新社会人は“質問は具体的に”を心がけましょう。
私の著書「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の中では、言語化力を、語彙力・具体化力・伝達力の3つに分解していますが、その中でも「具体化力」は言語化のキモともいえる部分。本書ではそれぞれの力を高める具体的な方法も提示しています。
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」著者の山口拓朗氏が、本書のエッセンスを盛り込みながら新社会人向けに書き下ろしたものです。