「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

「話が分かりにくい人」が話す前にやるべきもっとも大事なこととは?Photo: Adobe Stock

言語化の本丸は「具体化」にあり

私は、本書の中で、言語化の3STEPは、

1「語彙力」を伸ばす
2「具体化力」を鍛える
3「伝達力」を磨く

だと繰り返し申し上げています。そして言語化の本丸は「具体化」にあります。

「具体化」と「伝達力」の関係性がよくわからないという人もいると思います。“具体的に”というのは、STEP3の「伝え方の話ではないの?」と。たしかに、そういう考え方もあります。

しかし、私が考える「具体化」とは、「最終的にどの情報を、どうやって伝えるかを考えるために、いったん、提供可能な情報を細かく分解する作業」のことを指します。つまり伝える前に、頭の中でその内容を細かく具体的に分解して準備するのです。

そもそも、人は自分でもよくわかっていないことを、誰かに伝えることはできません。

つまり、言語化が苦手な人の多くは、「伝え方」が下手なのではなく、そもそも「伝える情報が頭の中にイメージできてない」のです。
そのことに気づかない限り、どんなに伝え方のテクニックを学んでも意味がありません。ゼロには、何を掛けてもゼロです。工夫しようにも、元となるものがない状態です。相手に伝わらないのも当然だと言えるでしょう。
 私はSTEP1~3の中でも特にこのSTEP2を重視しています。「具体化」の仕方を身に付けて、日頃から実践していけば、どんな人でも必ず言語化力は伸びていきます。

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。