なお、60歳時点で通算加入者期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が引き伸ばされます。

 受取方法は、「老齢年金方式」、つまり分割で5年以上20年以下の期間で受け取るか、「老齢一時金」として一括で受け取るかを選択できるほか、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能です。また、転職などで勤務先が変わっても、積み立てたものはそのまま移換できますので、その点は心配無用です。

さまざまな控除こそが
iDeCoのメリット

 こうしたiDeCoの最大のメリットは、大きな税制優遇が受けられることです。

 まず、掛金全額が所得控除になります。たとえば毎月の掛金をわかりやすく1万円とします。所得税が20%とすると年に2万4000円が軽減されます。加入が40歳で、20年間運用したとすれば48万円も軽減されるわけです。

 それだけではありません。運用益も非課税になります。運用益には通常、源泉分離課税が20 ・315%(=所得税15%+復興特別所得税0・315%+住民税5%)課せられますが、これが非課税になるのです。

 受取時にも控除があります。一時金で受給する場合、「退職所得控除」が適用されます。これは、一時金受取額から退職所得控除額{40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)}(勤続年数20年超の場合。20年以下は40万円×勤続年数)を差し引いた金額の2分の1の金額に課税されることになるというものです。

 年金で受け取る場合には、「公的年金等控除」が適用されます。これは、公的年金の収入額から控除されるものです。公的年金の収入額と65歳を境にして計算方法が違いますので、国税庁のホームページなどでご確認ください。

 こうした控除もあり、税制優遇はかなり大きいものとなるわけです。

 ただ、デメリットがないわけではありません。前述したように60歳になるまでは引き出せないことが最大のものでしょう。それ以外にも、運用する金融機関に口座管理手数料を支払わなければなりません。また年収103万円以下の専業主婦の場合、もともと所得税非課税の範囲なので、iDeCoの所得控除がメリットにはなりません。