家計はいよいよ厳しいが
驚くほど手厚い家庭支援も
今春、多くの企業では賃金が上昇したとはいえ、物価高、金利上昇の中で子育てや住宅ローンの返済に追われる世帯は多い。大きな出費をできるだけ抑えて家計を助ける方法の一つとして注目を集めているのが「申請するだけでもらえるお金」。
「今、政府が特に力を入れているのが『異次元の少子化対策』で、新年度は子育て関連の給付金・助成金が拡充されています。ご自身のライフステージに沿って該当する制度があるのか、探してみることをお勧めします」
そうアドバイスするのは、全国の助成金、補助金に関する情報を提供するウェブサイト「助成金なう」を運営する、ナビット助成金事業部の富永雅彦さん。
「国・自治体案件」の「個人向け案件」にチェックして、キーワードを入力すると、調べたい補助金、助成金が出てくる。
その「異次元の少子化対策」は、「両立支援・働き方関連」、「保育・幼児教育」、「児童手当の拡充」「その他の給付拡充策」の4つに分けられ、特に子育て関連は手厚い施策になっている。
「23年4月から出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられています。さらに26年度頃には出産費用は保険適用になることが検討されています。新年度で注目したいのは『児童手当』です。児童手当の給付期間が、お子さんが中学生修了前から高校修了(※1)までに延長されます。
また、世帯の所得制限も撤廃され、高校生の子どもを養育している全世帯が対象になります。子育て期間のなかで最も教育費がかかる時期なので、新年度から高校3年生のお子さんがいる世帯は忘れないで手続きをしましょう」(富永さん、以下同)
教育費で最も費用がかかるのが大学の学費。目指す大学や学部、居住エリアや通学方法によって差はあるが、授業料などの入学費用と4年間の在学費用を合わせた総額は国立大学で481万円、私立大学文系690万円、私立理系822万円にもなる(日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」)。
大学、短大、高等専門学校などに通う学生が受けられる返済型不要の「給付型奨学金」は、年収要件が大幅に拡大される。現在は世帯収入が380万円未満と対象者は限られていたが、新年度からは世帯収入600万円未満に引き上げられた。
最大で月額7万5800円(私立大学・短大・専修学校、自宅外通学の第1区分)で、家族構成と世帯収入によって第1区分から第3区分に分けられ、給付額は私立か公立、通学条件などによって異なる。
従来の奨学金をすでに受けている人や条件が合わなかった人でも条件によっては「給付型奨学金」が活用できるので、再度、文部科学省のホームページなどで確認してみよう。