腫れ物に触るような対応しか……

「他の会社でもトラブルが多いと聞きますけど、うちの職場でも、上司がちょっと注意しただけで、傷ついたとかパワハラだとか文句を言うんで、どうしたらいいのか困ってるんです」

『育ち方が違えば感受性も違ってきますよね。私たちの世代のように、厳しさの中で鍛えられて育った者にとっては、ちょっと厳しいかなといった程度の言葉でも、叱られずにほめられるばかりの甘い環境で育った今どきの人には、とんでもなく厳しい言葉のように感じられる、っていうことがあるんじゃないでしょうか』

「なるほど。言われてみれば、そうかもしれません。でも、それじゃ一切注意できなくなっちゃうじゃないですか。もともとできる人はそれでいいですけど、なかなかできない人は注意してやらないと、できるようにならないでしょ」

『仕事ができるように育てるには、注意も必要ですよね』

「そうでしょ。それなのに、やり方が間違ってるって注意されると、まるで自分を全否定されたかのように真っ赤になって反発するのもいるんです。でも、間違ってるのをそのままにするわけにもいかないから、注意するしかない。注意っていうより教えてあげてるのに、反発されるんじゃ、やってられないって教える側が腹を立てて私に文句を言いに来るんですけど、そっちの気持ちがよくわかります」

『それはそうですね。このような時代に鍛えてあげる側は大変だと思います。でも、注意すると傷ついたとかパワハラだとか、みんなが言うわけではないのでは。厳しく注意されても、別に文句も言わず、注意されたことを糧にしてできるようになっていく人もいるんじゃないですか?』

「もちろんいますよ。そういう若手には安心して指導できるんですけどね……だけど、いわばひ弱な若手には腫れ物に触るような対応でいくしかなくて、鍛えてやれないから、できるように育ててやれないし、本人も損だと思うんですよ」

『そうですね。鍛えてもらえず、腫れ物に触るような扱いになるのは、本人にとって大きな損失でしょう。そこは何とか鍛えてあげないと可哀想ですね』

「じゃ、どうしたらいいんですか?」