後日わかったことは、ある女性従業員が、清美さんと同じ部署の若手の男性社員を気に入っていたこと。そして、清美さんが彼とよく話し、仲良くしていたことが気に入らず、その女性従業員から嫉妬の目を向けられていたことです。もちろん清美さんには身に覚えがありません。
その従業員の女性は周りの人に清美さんの悪口を吹き込み、男癖の悪い女であるかのように吹聴していました。やがて、清美さんはいたたまれずに会社を退職してしまいます。
清美さんに嫌がらせをしていた女性はいつも、自分の思い通りにならない相手を精神的に追い込み、退職に至らせるようにして排除してしまうのです。
この女性はなぜ、そこまでして人をおとしめようとするのか。のちにわかったことですが、その本当の理由は「夫に対する不満」だったのです。
なぜ、夫とは関係のない清美さんをおとしめるのでしょうか。
「人の幸せが許せない」という心理
嫌がらせや意地悪の多くは、それを行う人の外側に原因があるのではなく、心の内側に原因があります。
例えば、愛されたいけど愛されない、認められたいけど認められない、自分だけうまくいかない、欲しいものが得られない、いつまでも幸せになれない……そんな惨めな自分を認めたくない、受け入れたくない、と感じています。
そして、それらの感覚を感じないように蓋をして抑圧するために、かえって自分よりうまくいっている人や幸せそうにしている人に対して、怒りが湧いてくるのです。
「なぜあの人だけが……」
「本当は羨ましい」
「私も欲しい」
そういった気持ちをどこかで否定しているため、「そんな気持ちにさせる相手が悪いのだ」とばかりに攻撃してしまいます。