このような人は、自分の嫉妬心にはなかなか気づくことができません。相手に嫌がらせや意地悪をすることで、自分の醜さや惨めさや腹黒さやずるさを認めなくていいので、心が楽です。

 つまり意地悪をして相手の足を引っ張るという行為そのものが、本人にとって癒しになってしまっています。もっと簡単にいえば、スッキリするわけです。相手の苦しむ姿を見れば見るほど快感ホルモンのドーパミンが放出されるので、意地悪や嫌がらせの中毒状態になっています。いじめによって得られる快感や勝利感で一時的にスッキリするのでこれがやめられません。

 先ほどの清美さんに嫌がらせをしていた女性は、夫との関係性が良くないという問題を抱えていました。夫に嫌われ、口もきいてもらえず、家の中で無視され続けています。でも夫に見捨てられたくないために、我慢してそれを飲み込んでいい顔をしていますから、かなりのストレスを抱えていたのです。

 そんな中、周りの人から人気があり愛されている清美さんを見て、「自分はこんなに不安なのに、この人は幸せそうで、なぜ私をイライラさせるのか」「自分をこんなにも不快にさせるこいつが許せない」と感じているわけです。

 しかし、清美さんには何も関係がありません。

 これが「他人の幸せが許せない」という感覚です。

 このようにして、自分よりも恵まれている人を見ると嫉妬して、「この人を排除したい」「成敗したい」となってしまうわけですが、それは自分の心の中に原因があるのです。自分の中にある孤独感や寂しさ、劣等感を感じないようにするために、自分の外側に敵を作り出して攻撃しては、ますます自分の闇から目を背けてしまうのです。

見えない攻撃に苦しみ続ける人たち

 パワハラやいじめなどの「目に見えるわかりやすい攻撃」と、間接的な嫌がらせなどの「目には見えないわかりにくい攻撃」では、後者のほうが対処しづらい傾向があり、困っている方も多いのではないでしょうか。

 目に見えるわかりやすい攻撃や、法律に反するものに関しては、対処方法がある程度存在します。しかし、見えにくくわかりにくい攻撃は、攻撃かどうかもわからない曖昧な行為、言動が多く、どう対処していいかわからないものも多々あります。