親権者(主に妻)が子どもを連れて居住地を変えて、父親を遠ざけるために消息不明になるケースはとても多いのです。そのケースでの“あるある”で、恵梨香さんの両親が何かしら手助けしているはずだと思い、張り込みを開始しました。
張り込み3日目の土曜日朝8時過ぎに恵梨香さんと優人くんが車で現れました。2人で実家に入った数分後に、恵梨香さんだけが出てきて車に乗り込み発車しました。今回の調査目的は優人くんの状況調査ですので、優人くんが出てくるのを待ちました。
それから恵梨香さんの母親が買い物に行って戻ってきたり、父親が庭の掃除をしていたりする様子は確認できましたが、優人くんは出てきませんでした。時間がたち午後7時過ぎに恵梨香さんの車が戻ってきて、優人くんを乗せて発車しました。
元妻と息子が暮らすアパートを特定
部屋から出た男性が思わぬ行動
尾行の結果、恵梨香さんの自宅アパートを割り出すことができました。しかし、優人くんの状況が分かるような撮影ができていないため、張り込みを継続しました。
朝になっても自宅からは誰も出てきません。お昼を過ぎて午後1時近くに優人くんが出てきましたが、一緒に40代であろう男性も出てきました。
2人は近くの公園に行き、キャッチボールを始めました。これで楽しく暮らしている状況でも撮影できれば山崎さんも安心するだろうと思い様子を眺めていると、男性は優人くんに「下手くそ!」と怒鳴ったり、ボールがうまく投げられないと頭をたたいたりしていました。その様子を撮影しながら、とても大事にされているようにはみえませんでした。そして日常的にこういったことが行われているように感じました。
私はすぐに山崎さんに報告しました。山崎さんは怒りを抑え付けながら、虐待の証拠を押さえる調査に切り替えたいと依頼内容の変更を希望されました。その時点から調査内容が変わりました。
男性が優人くんに罵声を浴びせたり、グローブやボールを投げつけたり、優人くんの頭や背中をたたいたり、押し倒したりしている様子を撮影しました。
キャッチボールを終えて帰宅したアパートからは、男性と恵梨香さんが優人くんを叱る怒鳴り声や、優人くんの泣き声などが録音できました。
近所に住む人たちへも聞き込み調査をしました。その結果、複数の方々が証言をしてくれました。