<正解>

「プランB」を選ぶべき

 プランAは年に10万円アップで、プランBは半年に3万円アップ。
 どちらも何も、ねえ?(笑) 
 こんなの一択じゃないですか(笑笑笑)
 ……そんなふうに考えていた時期が私にもありました。
 これもSNSで度々話題になる問題です。
 冷静かつ批判的に、考えてみましょう。

意外すぎる答え

 正解の意外性が面白い問題なので、先にお伝えします。
 じつは最終的には……

「プランB」の方がもらえる給料は多くなります。

 不思議ですよね。さっそく検証していきましょう。

実際の「昇給ペース」を検証しよう

 考えやすいように、あなたの1年間の給料を1000万円とします。
「プランA」なら1年ごとに全額が。
「プランB」なら半年ごとに半年分が、それぞれ支払われます。

 まずプランAですが、向こう3年間で支払われる給料を検証すると、こうなります。

 「プランA」を選んだ場合
  1年目:1000万円
  2年目:1010万円
  3年目:1020万円
  3年間の給与合計:3030万円

 次にプランBは、こうなります。

 「プランB」を選んだ場合
  1年目:500万円 + 503万円 = 1003万円
  2年目:506万円 + 509万円 = 1015万円
  3年目:512万円 + 515万円 = 1027万円
  3年間の給与合計:3045万円

 なんと、プランBは1年目終了の時点でプランAの年間給与を超えます。
 そして、そのまま両者の差はどんどん離れていきます。
 なぜこのようなことが起きるのか? 
 それは……

「プランB」の方が昇給ペースが早いからです。

支払額で比べてみる

 支払額を年で区切って見てみると、「プランA」は1年間で10万円増えていますが、「プランB」は1年間で12万円も増えています。
 これは、1年を前半と後半に分けて考えると気づけます。

 プランAの場合の今年の給与
(1年前の前半の給与 + 1年前の後半の給与) + 10万円

 であるのに対し、

 プランBの場合の今年の給与
(1年前の前半の給与 + 6万円) + (1年前の後半の給与 + 6万円)

 になっているためです。
 半年分の給料である「500万」を基準にして示すと、このようになります。

 ・プランA(1年に1回、10万円ずつ昇給)
  1年目:「500+500」=1000万
  2年目:「500+500」+10=1010万
  3年目:「500+500」+10+10=1020万
 ・プランB(半年に1回、3万円ずつ昇給)
  1年目:「500」+「500+3」=1003万
  2年目:「500+3+3」+「500+3+3+3」=1015万
  3年目:「500+3+3+3+3」+「500+3+3+3+3+3」=1027万

 プランBの場合、「半年に3万円ずつ=年間6万円の昇給」と考えがちですが、実際に手にする金額は前年より12万円増えるのです。

「思考」のまとめ

 かなり巧妙でわかりにくい罠がありましたね。
 理屈はわかりそうだけれど、なかなか腑に落ちない面白い問題でした。
 上司から似たような昇給チャンスを与えられたとき、間違えないように注意しましょう!

 ・時間軸が異なるものの比較は直感の罠にはまりやすいので、しっかり検証する姿勢が大切

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。