先進国ではおおむねこの基準が室内最低推奨室温となっている。なぜなら、18度未満では血圧上昇・循環器疾患の恐れ(たとえば、ヒートショック)があり、16度未満では呼吸器系疾患の恐れ(たとえば肺炎)があることが立証されているからだ(スマートウェルネス住宅等推進調査委員会調べ)。調べてみると、日本の居間の室温はかなり低い。先ほどの香川県はその中でも最低の13.1度しかなかった。

夏暑く冬寒い
日本家屋の決定的な弱点

 肝心なことは、マイホームは冬をどう過ごすかをよく考えて、その性能を高めておかなければならないということだ。こうした家の冬対策にとって逆効果なものに「こたつ」がある。こたつがある場合とない場合を比較すると、こたつがある家では室内温度が18度未満に(寒く)なる確率が2.6倍上がり、運動不足になり、不健康になりやすいことがわかっている(スマートウェルネス住宅等推進調査委員会調べ)。暖を取るための付け焼き刃的な対策が逆効果になることもあり、本格的に改善するには家を「断熱」するに限る。

 日本の家が夏暑く冬寒いのは、断熱がされていないからである。外気がどうあろうと室内の温度を一定に保つには、熱の流出入を止めればいい。魔法瓶と同じ原理だ。冷たいものは冷たく、熱いものは熱くあり続けるようにするのだ。それが「断熱」だ。

 住宅において最も熱を通すのは窓になる。窓ガラスを二層・三層にしたり、その間の空間に特殊なガスを入れたり、サッシをアルミから樹脂に変えたりすればかなり変わる。二重以上のサッシまたは複層ガラスの窓が設置された住宅の割合と冬場の死亡率の増加は、都道府県単位に相関する。(高知と九州・沖縄を除くが、R二乗0.95)その関係性から、設置すれば冬場の死亡率は10.3%下げることができる計算になる。