すごく寒いはずの北海道で
冬場の死亡率が低い理由
逆に、冬場に亡くなる人が減るのは唯一沖縄県(47位)で、その他の県はすべて冬場に亡くなる人が増加している。亡くなる人が減る2位は鹿児島県(46位)で、冬場に9.5%増加する。ちなみに、沖縄県の1月の平均最低気温は14度、最高は19度で、冬とは言えないほど過ごしやすく、鹿児島県は最低3度、最高12度なので、それほど暖かいとは言えない。同3位山形県(45位)、4位秋田県(44位)、そして5位に最も寒い印象がある北海道(43位)が入る。不思議に思うかもしれないが、このランキング結果には理由がある。
ヒートショックの発生率が最も高い香川県(東京都健康長寿医療センター研究所)では、居間の温度が平均13.1度(スマートウェルネス住宅等推進調査委員会)で最も寒く、冬場の死亡率が高くなる割合は122.9%(人口動態統計)と、47都道府県でワースト3位となっている。これは、断熱されていない部屋が寒くなるケースが多いことが一因と考えられ、二重以上のサッシまたは複層ガラスの窓が採用されている住宅の割合は21.1%(住宅・土地統計調査)で、低い方から11番目となっている。
香川県と言えば、瀬戸内海の温暖な気候を想像するが、それが過信と装備不足を招いているのかもしれない。なぜなら、北海道はヒートショック死者数が沖縄に次いで2番目に少ないからだ。居間の室温は平均19.8度と高く、断熱性能の高いサッシ・ガラスは81.6%と最も高い。結果的に、冬場の死亡率が高くなる割合は111.9%と5番目に低くなっている。寒冷地は入念な寒さ対策が必須要件だけに、ヒートショックが少なくなっていると考えられる。
冬に亡くなるのは外気が寒いのではなく、自宅の室内温度が低いことが原因だ。実は「自宅に殺されている」と言っても過言ではない。
阪神淡路大震災でも能登半島地震でも、死因は圧死が最も多く、家の耐震性が十分あれば、多くの人が死なずに済んでいるはずだ。これと同じで、家の室内温度についてWHO(世界保健機関)は2018年、冬場の室温を18度以上に保つことを強く勧告している。冬場の室温が健康と寿命に影響するからだ。