日本の住宅の性能は数値化されていて、断熱等級は7段階あり、2025年4月から新築住宅は省エネ基準適合が必須となり、断熱等級は4以上となる。この等級を上げると減税や補助金が増額される仕組みになっており、光熱費も下がるので住宅コストをトータルで下げることになり、家を新たに購入する人にとって最重要事案になっている。

 また、既存住宅で断熱をどうするかも課題となる。今住んでいる自宅でも、もしくはこれから購入する中古住宅でも、断熱はやった方がお得だ。断熱リフォームは標準的な戸建てで300万円、マンションで120万円ほどかかるが、補助金と減税で最大満額の現金が返ってくる。ただし、その方法は複雑だ。対象商品と住んでいる自治体によって、補助金額や減税額が異なるからだ。スタイルアクトが運営する『住まいサーフィン』の会員には、お得な断熱をアドバイスしてくれるリフォーム会社を紹介している。

 それだけではない。新築は断熱性能が高いが、中古でも同等以上にしないと資産価値に影響することになる。断熱の効果は、健康面でも明らかな改善が見られる。断熱等級5以上の物件に引っ越した人の85%が、健康状態が改善したと回答している(近畿大学・岩前篤教授)。

人生と生活を変える
「断熱リフォーム」の第一歩

 親に断熱リフォームをプレゼントした友人がいる。彼は商社勤務で海外経験が長く、日本の家が寒いことを危惧していたので、「まずは親の家から」と考えたらしい。これで、冬の不慮の死を回避し、1年を通じて健康増進を実現できるだろう。

 私が彼に断熱リフォームでは補助金と減税で最大10割が返ってきて、ローンも組めるという話をしたのが理由だが、彼の家庭では今、自宅の戸建を断熱する話が進んでいるそうだ。断熱は冬を迎える前にやった方がいいし、この手のリフォームは早ければ2時間程度の取り付け時間で済むものもあり、住みながらにして実施することができる。

 始めの一歩を踏み出せば、その後の人生・生活が変わってくることだろう。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖有人)