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賃貸住宅に住む人は
持ち家に住む人よりも老化が早い?
賃貸住宅に住む人は、持ち家に住む人と比べて、生物学的な老化が早い可能性を示唆する研究が発表された。英国人の住環境とDNAメチル化に焦点を当てて検討した結果、民間賃貸住宅と生物学的老化との間に関連が認められたという。アデレード大学(オーストラリア)のAmy Clair氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Epidemiology & Community Health」に10月10日掲載された。
DNAメチル化は、DNA分子に化学的変化を起こさせるプロセスであり、遺伝子の活性を「オン」または「オフ」にする働きを持つ。このプロセスは加齢とともに変化し、老化の重要な要因の一つと考えられている。そのためDNAメチル化は、生物学的老化の有用な指標と見なされている。
今回の研究は、1991年に開始された英国世帯パネル調査(BHPS)と、BHPSを統合した英国世帯縦断調査(UKHLS)に参加した1,420人の英国成人を対象に実施された。住環境、収入、学歴、健康上の要因(喫煙習慣、体重、慢性疾患など)に関するデータ、およびDNAメチル化のデータを用いて、住環境と生物学的老化との関連を解析した。
英国での主な住宅所有形態として、持ち家(住宅ローンなし)、持ち家(住宅ローンあり)、賃貸住宅(民間賃貸住宅と、地方住宅公社などから借りる社会住宅)に分けて検討した。
収入や健康上の要因を全て考慮に入れて解析した結果、民間賃貸住宅に住む人は、持ち家(住宅ローンなし)に住む人と比べて、生物学的老化の早いことが明らかになった。民間賃貸住宅に住むことが生物学的老化に及ぼす影響は、平均的には小さなものだったが、失業や喫煙歴による影響よりも大きいことが判明した。一方、社会住宅に住む人と生物学的老化との間に関連は認められなかった。