60歳以降の寿命を縮める
「ダメージが大きい家」の特徴
2022年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となる(厚生労働省「簡易生命表」)。人間が60歳までに死ぬ確率はいたって低いだけに、以降の20~30年の寿命に強い影響を与えているものとして、自宅が挙げられる。
最も在留時間が長い場所でありながら快適性に劣ると、年老いた体にとってそのダメージは計り知れない。どんな家が寿命を縮めてしまうのか、なぜそうなるのか。それが国勢調査から判明したので紹介したい。
国勢調査では5歳おきに住んでいる家を特定している。持家か賃貸か、戸建かマンションかなどの区分である。高齢者は引っ越しをほとんどしない。住宅ローンは80歳完済なので、年金暮らしになってから家を買ったりする確率は少なく、賃貸から持家への移動はほぼない。
賃貸で引っ越したくてもオーナーの審査が通らないことも多い。部屋で亡くなられ、発見が遅れると異臭で貸せなくなったりすることを嫌うからだ。高齢者に最も多い移動は老人ホームと想定されるが、その割合はわずかで、ほとんどの人は同じ家に住み続けている確率が圧倒的に高い。
70歳の人は5年後75歳になっているので、この間で生きていた人の割合を生残率として計算しよう。この生残率は年齢が進むにつれて下がるが、住んでいる家の違いで大きな差が出ることが、今回判明している。60代前半から計算を始めているので、平均余命はわずか20年強に過ぎず、数年の差でも大事になる。