事実、イチロー選手は優勝会見で、「チームにはリーダーが必要だという安易な発想があるようだが、今回のチームに全くそんなものは必要なかった。それぞれの選手が向上心を持っていれば、そんなものは要らない。いや、むしろない方がよいくらいだ」と語っています。

 選手のなかで高みを目指す気持ちが共有され、つながり、引き出され合う――。そんな連鎖が高い結束力を生んでいたのではないかと思います。

 もうひとつの特徴は、まさに日本野球の強みにもなっていた、「打線や投手陣のつながり」だったと思います。一人ひとりが、その時の状況に合わせて、「今何をすべきか」という役割を意識しながら、前後のつながりを柔軟に考えて動く力――。

 こうしたお互いのつながりは、お互いを支え合い、認め合う気持から生まれていたのだということが、選手たちのコメントからもよくわかります。

 たとえばダルビッシュ有選手は、「最後の2試合でストッパーを任されて、藤川選手に申し訳ないと思ったが、藤川球児選手から色々アドバイスをもらって本当に感謝しています」と、記者会見で語っています。

 また青木宣親選手は、「イチロー選手がことあるごとに“成長したな”“よくなったな”と言ってくれたことが励みになった。自分の頑張りの支えになった」と語っています。

 それに、決勝戦の胴上げ寸前に、松坂大輔選手はベンチを離れてブルペンに向かっています。胴上げにすぐ加われるようにベンチにいた方がよいのに、「ブルペンの皆が気になって向かった」と、彼はコメントしています。

 選手が相手のことを考え、自分に今できることを着実にして行く。このような考え方が、打線のつながり力、投手陣のつながり力の高さを生み出していたのではないかと思います。

同じものを見て、感じて、学ぶ!
チームに必要なのは“つながり力”

 日本の野球は、アメリカの豪快な野球とは違い、“スモールベースボール”と言われて来ました。送りバントや犠打を重ねて、走者を進めながら確実に点を取っていく野球です。しかし、今回は「さらに進化した日本のベースボール」が見えた気がします。