オレンジジュース、オリーブオイル、チョコレート…
円安で食料品や必要な資源の輸入が難しくなる
4月後半、予想を上回る米国経済指標の発表や、日本銀行の円安を容認するとも受け取れる発言もあったことから、34年ぶりの水準まで円安は進行した。
食料やエネルギー資源を輸入に頼るわが国にとって、円安の進行は原材料コストの上昇要因になる。典型例の一つが、国内飲料メーカーによるオレンジジュースの販売休止だ。ブラジルなどで異常気象によりオレンジ果汁の供給が減少し、年初来で、オレンジジュース先物の価格は2割程度上昇した。
わが国のオレンジジュースの約9割は輸入品とみられ、円安で国内メーカーの原材料調達コストは膨れた。オレンジジュースの値上げに踏み切る、あるいは国産ミカンでの代替を検討する企業が増えている。
ただ、そうした取り組みにも限界がある。食料や日用品の価格上昇率は「名目賃金」を上回り、3月まで24カ月続けて「実質賃金」は前年同月比でマイナスだ。オリーブオイルやチョコレートも世界的な相場上昇と円安によって、国内での小売価格が上昇傾向にある。
世界的な供給の不安定化を背景に、モノやサービスの価格は上昇が続いている。加えて、円安が進行し、わが国の輸入物価の上昇圧力は再び高まっている。日本企業にとって、一部の資材では量を確保することが相当な困難となっている。