有給休暇を取らなければ
健康に大きな悪影響がある

 日本では長時間労働のほかにも、有給休暇を取りづらく、取ることに対して罪悪感を感じる人が、多いのではないでしょうか。

 一方、欧米人は有給休暇を取ってあたりまえで、罪悪感を感じる人は皆無といえます。

 取得しなかった有給休暇は、労働者が事実上雇用主に寄付したお金であり、本人の経済的損失はもちろん、実は健康にも大きな悪影響があります。

 日本は集団主義的な要素が残存しており、階層的な社会といえます。

 社員一人ひとりが同僚のために貢献していて、有給休暇を取ると自分の役割を放棄しているようにも、感じてしまいます。

 一方、欧米社会は個人主義の要素が強く、階層的ではありません。

 そのため、個人の目標のために、同僚に負担をかけていると考える人はほとんどいません。

 これは〈役割の違い〉に起因していると、筆者は考えています。

 日本の役割分担は高度に専門化されており、Aさんがいなくなると、Aさんの代わりに勤務を補える人は少ないかほとんどいません。

 一方、休暇と休みを頻繁に取る欧米の職場においては、役割は柔軟性があり「よろず屋社員」が一般的です。

 欧米のように、「予備のスペアを持つ」という発想は、「休みが取れない」「休みを取ることに罪悪感を感じる」という感情を、覆す手の一つになるかもしれません。

 また、仕事から離れることの利点は、一日程度、あるいは勤務中の短い休みにも当てはまります。

 つまり、仕事から離れる時間(短時間、中時間、長時間)は、健康維持に不可欠であり、一年のうちで複数の長期間休暇、一週間における休み、一日における休憩時間、オフ時間は、交互に相殺できるものではなく、どれも取得できる環境が肝心となるといえます。