それは前向きなキャリアブレイクで、転職ではなく、あえて無職期間を持つことでいろんな経験をしようという意気込みもあったようですが、実家に戻ったことで、親や家族との距離が近くなり、無職であることに居心地の悪さを感じていたようでした。親のために早く復職した方が良いのでは、と勘繰っているうちに、自分の転機に集中できなくなり、少し距離を置くために宿を求めたようです。

 そこから、あれよあれよと宿泊希望者が増え始め、どうやら世の中にはキャリアブレイクしている人が想像よりもいるようだと実感するようになりました。

 おかゆホテルを始めて、当事者が多くいることに驚かされましたが、それ以上に経験者の多さにも驚かされました。「私がしていたのはキャリアブレイクだったのか!」「あの期間がなければ今の自分はないかもしれない」などの声をたくさんいただきました。多くの人はキャリアブレイクという言葉を知らず、無意識のうちにその選択をしていたようです。また、その期間中は苦しい思いや葛藤があったものの、振り返ってみればターニングポイントだったと話す人がほとんどです。

 こんなキャリアブレイクが日本で文化になったら、という想いを込めて、宿を始めてから1年ほど経った2022年10月に、3人の仲間と「一般社団法人キャリアブレイク研究所」を設立しました。

あなたはどれに当てはまる?
キャリアブレイクの4パターン

図表:キャリアブレイクの4パターン同書より転載 拡大画像表示

 キャリアブレイク研究所では、入口別に大きく分けて、キャリアブレイクには4つのタイプがあると考えています。それぞれによって、キャリアブレイクを始める理由、動機、キャリアブレイク後に描いているゴールが少しずつ異なります。また、キャリアブレイクの途中でタイプが変わる人も存在します。