創業9年目で売上300億円と、急成長を遂げている家電メーカー、アンカー・ジャパン。そのトップに立つのは、27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳でアンカー・ジャパンCEOに就任と、自身も猛スピードで変化し続けてきた、猿渡歩(えんど・あゆむ)氏だ。「大企業に入れば一生安泰」という常識が崩れた現代、個人の市場価値を高めるためには「1位にチャレンジする思考法」が必要だと猿渡氏は語る。そんな彼が牽引してきたアンカー・ジャパンの急成長の秘密が詰まった白熱の処女作『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』が発売たちまち話題となっている。
そこで本書の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みを猿渡氏にぶつける特別企画がスタートした。第9回目は、「仕事をうまくサボる習慣」について、教えてもらった。(構成・川代紗生)

1位思考Photo: Adobe Stock

性悪説に基づくマネジメントの危険性

──『1位思考』第6章のテーマは、「サボる習慣」です。
「仕事の生産性を上げるには実はサボったほうがいい」と書かれていたのが意外でした

猿渡歩(以下、猿渡):「サボる習慣」は、本書でもポイントになる項目です。

 サボることに罪悪感を抱く人も多いかもしれませんが、適度にサボれるかで、仕事の生産性は大きく変わってきます。

──コロナ禍でリモートワークが増えたことで、仕事の監視ツールを導入するか検討中の企業もありそうです。「サボり対策」を課題とする企業も増えてきていますが……。

猿渡:個人的には、過度な性悪説に基づくマネジメントは、良い結果を生まないと思います。

 社員に「自分は信頼されていない」と感じさせてしまうと、会社への不満・不信につながります。

「結果を出すのが仕事」という原則を見失い、成果を上げることより机に向かうことを目的にするような管理手法では、本質的な問題解決はできません。

 成果が出なくても「頑張った感」を評価する企業は依然多いですし、そういう人を評価したくなる気持ちもわかりますが、本来は少ない時間で多くの成果を上げた人を評価すべきです。

1位思考

「サボる習慣」で「頑張った感」に打ち勝つ

──自分自身でも、「頑張った感」だけでなんとなく自分をほめたくなることがあります。

猿渡:長く作業していると、疲労感はすごいのに、冷静に振り返ってみると、まったく仕事が進んでいない。そうなると、本末転倒です。

「頑張った感」とは悪魔のようなもので、効率が悪くても、長時間PCの前で仕事をしただけで妙な達成感を覚えてしまう。

 だからこそ、「サボる習慣」が必要なんです。

 成果が上がるなら、仕事中に音楽を聴いても、ジムで運動しても、昼寝をしてもいい。

 長時間、デスクに向かい続ける人が常に成果を上げられるわけではありません。

 私自身も、集中力をキープするために、さまざまな工夫をしています。