「あなたが抱えているのは、良いストレスと悪いストレス、どっちですか?」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
ストレスは「塩」のようなもの
現代の日本は「ストレス社会」と言われて久しいですが、ストレスによって病んでしまい生活が苦しくなっている人もいるでしょう。
「仕事に行き続けるのが苦痛」
「毎日早起きするのがつらい」
そんなストレスですが、適度なストレスは人間が生きるうえで大切なこともわかっています。
ストレスがまったくない生活は、やりがいや承認欲求が生まれないことで、逆に病んでしまう恐れもあります。
それこそ私たちが摂取する「塩」のように、人生を味わい尽くすためにはなくてはならないもののひとつとなっているのです。
「良いストレス」とは?
そんなストレスにも「良いストレス」と「悪いストレス」の二種類があります。
良いストレスとは、「挑戦」や「タスク」から生じるストレスです。
たとえば、仕事の締め切りや試験勉強、運動など、達成感や目標があるストレスが挙げられます。
試験勉強はその先に、社会的な成功や安定した生活などの目標があります。
運動や整髪などのストレスも、その先に美容や健康などの大きなメリットを感じられます。
このように、「先があると感じられるストレス」は、私たちの集中力を高めたり、人生に達成感を呼び込んで、人生をより良くするための助けにもなってくれます。
良いストレスは短期間で、達成感や満足感を伴うことが多く、健康など人生で大切なものを維持するために重要な役割を果たしてくれるのです。
「悪いストレス」の特徴
一方で、有害なストレスは長期間にわたって持続するストレス、ようは「終わりの見えないストレス」が挙げられます。
たとえば、職場での過剰なプレッシャー、人間関係のトラブル、経済的な困難などが挙げられます。
これらのストレスは自分でなんとかできない、モヤモヤとした苦痛を生涯抱え続けなければならない気持ちにさせます。
そんな有害なストレスは、持続することで頭痛、疲労、腹痛などの身体的な症状を引き起こし、最終的には偏頭痛、喘息、糖尿病、潰瘍性大腸炎などの深刻な病気に発展することがあります。
人間は塩分を摂りすぎると身体に異常が出てしまうように、ストレスによって脳や身体が過剰に働き続けることで、さまざまな異常が引き起こされてしまうのです。
「ストレス」を味方につけよう
良いストレスは私たちの生活に活力を与え、成長や発展を促しますが、有害なストレスは溜め込みすぎると身体だけでなく、心にも異常を起こしてしまいます。
ストレスを感じたときは、メタ的な視点からそれが、
「良いストレスか?悪いストレスか?」
を判断し、良いストレスを味方にしながら、悪いストレスを吐き出していくことが、健康の維持にはとても大切です。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。