子どもの頃に「おとなしい」と言われて嫌な思いをした方は多いのではないでしょうか。言っているほうは悪気はなくても、「おとなしい」という言葉にはどこか否定的な響きがあります。「内向的」という意味合いが込められている場合が多いからです。「外向的」な性格で悩んでいる人には会ったことがありませんが、「内向的」であることはよくないことと世間では受け止められてきました。しかし「内向的」な性格にも長所はたくさんあるのです。世界の大富豪イーロン・マスク、「ハリー・ポッター」シリーズの生みの親JK・ローリング、アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ、天才的科学者のアルベルト・アインシュタイン、世界的ミュージシャンのエド・シーラン、エイブラハム・リンカーン大統領、映画監督のスティーブン・スピルバーグなど、世界の偉人とも言われる多くの成功者は、子どもの頃に内向的な性格でした。一人で深く思考を重ねるのが好きでした。だからいじめの対象になることも少なくありませんでした。しかし彼らは、ある時点で自分を成長させ、自分の良さを保ったまま、世に出ることができたのです。本連載では、最新の脳科学研究から明らかになった、「おとなしさの真実」とさまざまな「性格をリセットして成長させる方法」をお伝えします。
あなたは写真の中の何を見ているのか?
上の写真をしばらく見てみてください。
あなたはこの写真の中で、何を見ていたでしょうか?
実は脳の研究で、その人の性格によって写真を見る場所が全く違うことがわかっています。
・少女や動物の顔を中心に見ていた人 → 外向性が高い
・顔だけでなく景色も見ていた人 → 内向性が高い
「こんなことでわかるの?」と思われるかもしれませんが、米国にあるソーク研究所の認知神経科学チームは、人の顔と花の写真を見せて、人がどこに関心を示すのかを調べる面白い実験をしました。
その結果、外向性が高い人ほど、人の顔を見たときに大きく脳が反応したのです。一方で内向性の高い人は、人の顔よりも花の写真を見たときのほうが、高い関心を示す脳波がたくさん出ることがわかりました。
一般的に「外向性が高い人は、人が大好き」というイメージがありますが、まさに脳科学で実証されたということになります。内向的な人は、みんなといるよりも一人を好む人が多いですが、これはその人の価値観の問題というわけではなく、内向型の脳がそもそも外向型より人の顔に興味がないからだったのです。
※本記事は『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』西剛志(ダイヤモンド社)より抜粋したものです。