おすすめポイント
大学生になった著者の息子に向けた手紙というていをとりながら、これから働くことになる若者たちに対するメッセージを伝えているのが本書だ。その内容は会社で中堅以上のポジションに就いている人にも大いに参考になる。お金を効率よく、正しく増やして、自由で幸せに生きていくための考え方や具体的な方法が紹介されているからだ。
一方で「大いにお金を稼げ」というつもりはないとも書いている。お金は目的ではなく、あくまで手段でしかない。自由に生きるために必要なだけあればよいのだし、その中で大金持ちを目指したくなれば目指せばいい。
うっかりしていると損をする側に回ってしまう資本主義が跋扈した現代社会において、様々な点でいかに「損しないか」について書かれているのが本書の特徴だ。そのため、投資がやけにダーティに感じ、「お金儲けに興味がない」という人こそむしろ読むべき書籍といえそうである。
手紙とはとてもパーソナルなものであり、基本的には送り主と受け取り手、この2人の間でしか読まれることのないものだ。だからこそ、文豪が交わした書簡などは非常に高い価値を持ち、多くの人が興味をもって読もうとする。その意味で、父から子へ贈られた手紙であり、かつベストセラーをいくつも著した経済評論家が書いた本書は、すでに希少な書籍といえるだろう。それが、スラスラと読み進めつつ、内容を受け止めることができる秘密なのかもしれない。(Judas)