欧州全域で台頭しつつあるナショナリズム政党の未来を垣間見たければ、ジョルダン・バルデラ氏に注目すればいい。28歳のこのフランス人政治家は、語り口が穏やかで、ソーシャルメディアに精通している上、自身の政治の師であるマリーヌ・ルペン氏を長年悩ませてきた歴史的な重荷を苦にしていないように見える。バルデラ氏は9日、ルペン氏から引き継いだ極右野党「国民連合」を率い、欧州議会選で過去最大の勝利を収めた。これを受けてエマニュエル・マクロン仏大統領は、仏国民議会(下院)を解散し、6月下旬と7月上旬に総選挙を実施すると表明した。国民連合が総選挙で勝利した場合、バルデラ氏は首相に就任する立場にある。9日のバルデラ氏の勝利は、フランスの若い有権者の間に同氏が培ってきた支持を活用することでもたらされた。こうした世代は第2次世界大戦の恐怖を知らず、欧州の最も新しいナショナリストたちを20世紀の権威主義的運動に結び付けようとするマクロン大統領の試みをほとんど無視している。世論調査会社エラベが3001人を対象に実施した調査によれば、19~34歳の回答者のうち、32%が9日にバルデラ氏の党の候補に投票した。マクロン氏率いる与党連合に投票したのは5%だった。