TPOに合わせて数種類の水を併用しているわ
フランスはエビアンのような良質の天然水が有名な国です。そんな天然水を源泉から一切加工をせず、熱殺菌処理もせずに自然のままの状態で直接ボトリングをしたのがフランスのミネラル・ウォーターです。カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルをバランス良く含んでいるため、健康にも美容にも良いとされています。パリジェンヌの究極の美容法は、なんと、ミネラル・ウォーターのガブ飲み。こんな簡単なことだったのです!
小躍りしたい気分の私でしたが、喜ぶのは少し早すぎました。フランスのミネラル・ウォーターは種類がとても豊富なのです。そして銘柄によってミネラルの含有量に差があり、それぞれ効能が違います。何を飲んでいいのかさっぱりわかりません。
出張が多い金髪美人の上司、ジュリエットは恐れ知らず、疲れ知らず、そして時差ボケ知らずです。そんな彼女もどこへ行くのにもルイ・ヴィトンのバッグにミネラル・ウォーターを潜ませ、水分補給を怠りません。
私はジュリエットがどの水を飲んでいるのか観察してみることにしました。すると、ウォーターの銘柄はコロコロ変わるではないですか。しびれを切らして、彼女に直接質問をぶつけてみると、意外な答えが返ってきました。
「TPOに合わせて数種類の水を併用しているわ」
そう言うジュリエットは実際、食事の際はシャテルドン、スポーツの時はコントレックス、便秘にはエパー、洗髪にはエビアン、そして洗顔にはアベンヌの水と決めて使い分けているそうです。
「これさえガブ飲みすればオッケー」という調子のいい水など存在しない
フランスではこのように、生活習慣や用途、さらには年齢や体質に合わせてミネラル・ウォーターを使い分けるのが常識なのです。つまり「これさえガブ飲みすればオッケー」という調子のいい水など存在しないのです。
何事も一朝一夕にはいきません。自分に合うスキンケア製品も、ミネラル・ウォーターも、やはり自分なりに試行錯誤を繰り返さなければ見つからないということです。
「汝自身を知れ」
ソクラテスの言葉が時空を超え、私の心に深く突き刺さるのでした。
※本稿は『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。