ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間勤務しPRトップをつとめ、「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外で称された藤原淳氏が、パリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、「自分らしさ」を貫く生き方を提案したのが、著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』。著者が言うパリジェンヌとは、「すっぴん=ありのままの自分」をさらけ出し、人生イロイロあっても肩で風を切って生きている人のこと。この記事では、本書より一部を抜粋、編集しパリジェンヌのように自分らしく生きる考え方をお伝えします。
パリの薬局に所狭しと並んでいるのは、メイク用品ではなく、スキンケア・グッズ
パリの街角には、よくもこれだけ、というくらい薬局がたくさんあります。そして女性、特に働く女性に重宝されています。そんなパリの薬局に所狭しと並んでいるのは、日本のようにメイク用品ではなく、スキンケア・グッズです。
意外と知られていないことですが、フランスは「デルモ・コスメティック」という、医療とコスメの間に位置するカテゴリーが存在するくらい、この領域の研究が発達している国です。
このため、洗顔料、クレンジングオイル、化粧水、保湿クリーム、角質ケアなどのスキンケア・グッズはとても充実しています。私など目が回ってしまうくらい、ありとあらゆる種類の製品が薬局に鎮座しています。
パリジェンヌは、自分の肌質や用途に合う製品を開拓している
パリジェンヌは誰もが試行錯誤を重ねながら、自分の肌質や用途に合う製品を開拓しています。ニキビやアレルギー、日焼けによるシミやしわ……。肌のトラブルに限りがないのは万国共通ですが、そんな彼女達の最大の味方は薬剤師さんです。
子どもの頃からアトピーに悩んできた私も、顔なじみの薬剤師さんに何度助けてもらったかしれません。髪の毛をいつも引っ詰め、薬剤師というよりはバレエ教室の先生のようなそのマダムは近所の人気者です。彼女目当てに来るおなじみさんも多いので、長蛇の列が出来ることもしばしばです。
私の乾燥肌に効く日常使いの洗顔フォームから、昼用、そして夜用の保湿クリーム、さらには繊細な瞼専用のクリームまで、薬剤師さんは事細かに選んでくれます。私が怪我をした時には、「傷痕にならないように」と、とっておきのクリームを勧めてくれました。
本当に大事なのは、ミネラル・ウォーターをガブ飲みすることよ
あまりにもしょっちゅうお世話になっていたので、私がある日、ため息交じりに、
「マダムがいなくなったら困っちゃうわ。自分じゃ何を選んでよいのかわからないんですもの」
そう漏らすと、彼女は難しく考えることはないと言います。そして声をひそめ、「店長に怒られちゃうけど」と前置きしながら囁きました。
「本当に大事なのは、ミネラル・ウォーターをガブ飲みすることよ」
目を丸くしている私を見て笑いながら、マダムは続けました。
「スキンケアって外側にばかり集中してしまうけど、内側からやらなきゃダメなの。人間も植物も一緒よ。葉っぱや花びらをいじっていたのではダメ。根っこから水分を入れてあげないと干からびてしまうのよ」
そう言われて私は「あっ!」と思うことがありました。オフィスでソフィアもヤスミナも毎日ミネラル・ウォーターを文字通りガブ飲みしています。「どうして?」と聞いてみると不思議な顔をされるくらい、それはもう習慣化されたことです。