同居人の北原氏の証言を掲載し、小池氏のこれまでの歩みを詳らかにした『女帝』のインパクトは大きく、都議会でも追及が続いた。これが鎮火したのは、出馬表明から約2週間後の6月9日に駐日エジプト大使館がFacebookページで小池氏の卒業について声明を発表したからだった。

 声明には「遺憾なことに、日本のジャーナリストが幾度もカイロ大学の証書の信憑性に疑義を呈している。これはカイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉毀損であり、看過することができない」「本声明は、一連の言動に対する警告であり、我々はかかる言動を精査し、エジプトの法令に則り、適切な対応策を講じることを検討している」といった内容が含まれており、日本の報道を厳しく牽制するものだった。このためか、その後の報道はトーンダウンする。

 これで学歴詐称疑惑は終わったかに見えたが、小池氏にとって3回目の都知事選イヤーとなる今年に入って行われたのが、元側近の小島敏郎氏の告発である。この告発は、2020年の駐日エジプト大使館の声明は、小池氏サイドが原案となる文章を作ったというセンセーショナルな内容だった。

「疑惑」払拭のために
今回はどんな手を使うのか

 小島氏は弁護士で、都民ファーストの会の事務総長を務めた人物。文藝春秋記事によれば、小島氏は2020年当時、小池氏の「学歴詐称疑惑」を疑っておらず、当時『女帝』の発売で狼狽する小池氏に「カイロ大学から、声明文を出してもらえばいいのではないですか」と提案したのだという。

【参考】
「私は学歴詐称工作に加担してしまった」小池百合子都知事 元側近の爆弾告発(文藝春秋/2024年4月9日※有料記事)
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7887