疑惑は払拭されていないのか?
作家から元側近まで度重なる報道の経緯

 まず、カイロ大にまつわる小池氏の「疑惑」は、「カイロ大首席卒業」と「カイロ大卒業」とがある。

 「首席」卒業については小池氏が1980年代に書いた自身の著書中の記載だが、この点を指摘された小池氏は2018年6月19日の都議会答弁で「なお、首席につきましては、当時の担当教授の言葉を鵜呑みにしたということでございまして、そのことで嬉しくなって、その旨を記述したということでございます」と発言。迂遠な言い回しであるが、実質的に虚偽を認めている。

【参考】東京都議会議事録 平成30年第2回定例会(第8号) 本文 2018-06-19
https://www.record.gikai.metro.tokyo.lg.jp/606901?Template=document&Id=2538#one:26

 一方で「卒業」自体していないのではないかという「疑惑」については、これまで小池氏は複数回にわたって否定している。

 国会議員時代からあったというこの「疑惑」は2016年の都知事選でも取り上げられたが、小池氏は「卒業証書」と「卒業証明書」をワイドショーの番組担当者に送ることで乗り切った。ただしこれらの証書についても、偽造の疑いが指摘されている。

 その後、石井妙子氏によるルポが文藝春秋に載り、2020年の都知事選に合わせるかたちで『女帝 小池百合子』が出版される。ちなみに発売日の2日前(5月27日)に小池氏は出馬を表明していたが、同日にプレジデントオンラインで「『カイロ大学卒業は本当』小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑」というタイトルで、証書偽造疑惑を打ち消す内容の記事が掲載されている。

【参考】
「カイロ大学卒業は本当」小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑(プレジデントオンライン/2020年5月27日)
https://president.jp/articles/-/35768

 『女帝』発売の影響を危惧した記者による記事だったのかもしれない。