フロントマスクは三菱車共通のダイナミックシールドの要素が入っているものの、独自性が明確。個性的で“強いデザイン”は、海外では他社のライバルと並べて販売されることが多く、そうした状況でも埋没しないことを意図したからだという。力強く、アグレッシブな造形は素直にカッコいいと感じる。
ちょっと武骨な雰囲気のインテリアもいい。外観と調和していて、質感は十分に高い。メーターは中央に7インチのカラー液晶を配した2眼式。水平基調のレイアウトでどこに何があるのかひとめでわかり、収納スペースも豊富に設定されている。
キャビンはロングホイールベースも効いて、相当に広い。前席はもちろん、後席の居住スペースも余裕がある。後席向けの空調として、頭上にリアサーキュレーターが配されている点もうれしい。
オンロードの快適性は並みのSUV以上
しかも圧倒的な悪路走破性の持ち主
走りはいろいろ“目からウロコ”だった。前回導入のトライトンはスタイリングこそモダンだったが、乗ると「ああやっぱりトラックだな」という感じがした。ところが、今回のトライトンは、まったく逆。見た目はいかにもタフなイメージながら、ラダーフレーム構造とは思えないドライブフィールに仕上がっていた。やせ我慢することなくSUV感覚で乗れることを、会場周辺の公道を走ってすぐに実感した。
印象的なのは乗り心地のよさだ。突き上げが圧倒的に小さく、ワナワナと振動し続けることもない。いたって快適な乗り心地を実現している。操縦感覚も同様。ラダーフレームにありがちな応答遅れはわずか。ラックパラレル方式を採用したという電動パワーステアリングのフィーリングは上々で、操舵力は軽く扱いやすい。
ラダーフレームでもここまでできることに感心した。その走りはラダーフレーム方式のライバル、たとえばハイラックスなどと一線を画している。聞いたところでは、フレーム剛性の強化と分析を綿密に行ったという。それが素晴らしい結果となって表れている。
運転を交代して後席に乗せてもらっても、よい印象はそのまま。リアタイヤが着座位置よりもだいぶ後方にあるおかげで、路面からの入力や音はほとんど気にならない。実に快適だ。コーナリング時の横方向の動きもマイルド。急激にGが立ち上がることはなく、いたって自然だ。タカをくくっていた後席の乗り心地だが、想像よりもはるかにくつろげた。これなら長距離クルーズも大歓迎である。
エンジンの実力も予想以上だった。2ステージターボシステムを採用し、204ps/3500rpm、450Nm/1500~2750rpmのハイスペックを実現した2.4Lクリーンディーゼルはパワフルでかつ振動が少ない。しかもリニアなレスポンスとスムーズな吹き上がりを実現している。実に気持ちいい。エンジンも新型の大きな魅力だ。
オフロードコースでは、優れた走破性を存分に体感した。4WDシステムには定評ある三菱独自の“スーパーセレクト4WD-II”を搭載しており、7つのドライブモードが搭載される。