飛行機で「酒を飲んで寝ている人」の体に起きている重大な健康リスク【最新研究】機内は地上より気圧が低い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

長距離フライト中の飲酒は
心臓に悪影響を与える可能性も

 飛行機に乗っている間、とりわけ長距離フライト中に飲酒すると、眠っている間に心臓の健康が脅かされる可能性のあることが、ドイツ航空宇宙センター・航空宇宙医学研究所のEva-Maria Elmenhorst氏らによる研究で示された。

 同研究では、飲酒と飛行機の巡航高度での機内気圧が組み合わさることで、血液中の酸素量が低下し、若くて健康な人でも心拍数が長時間にわたって上昇し続けることが示されたという。この研究結果は、「Thorax」に6月3日掲載された。

 今回の研究の背景情報として、巡航高度で飛行中には、健康な乗客でも酸素濃度〔酸素飽和度(SpO2)〕が血中の約90%まで低下する可能性があり、それ以下になると、低圧低酸素、すなわち高高度で血中酸素濃度が低下した状態と見なされるとElmenhorst氏らは説明している。

 アルコールは血管壁を弛緩させ、睡眠中の心拍数を増加させる。そのため、Elmenhorst氏らは、飲酒と飛行機の機内気圧の組み合わせが睡眠中の乗客に有害な影響をもたらすのではないかと考えた。