孫正義の“むちゃぶり”から「逃げ出す人」と「耐えられる人」のシンプルな思考の違いPhoto:JIJI(孫正義氏)/Photo by Motoyuki Ishibashi(川邊健太郎氏)

想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第19回。対談相手は、長年にわたって孫正義の経営を近くで見続けたLINEヤフー会長の川邊健太郎氏。孫正義氏からむちゃぶりをされたときのエピソードを教えてくれました。苦しい仕事の乗り越え方はすべてのビジネスパーソン必読だ。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

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孫正義の“むちゃぶり”から「逃げ出す人」と「耐えられる人」のシンプルな思考の違い
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PayPayのポイント還元
「200%でどうだ?」

井上 孫社長と仕事をするのは、楽しいけれど大変だというお話しをされていました。川邊会長の思い出に残る、孫さんからのむちゃぶりはありましたか?

川邊 一番思い出に残っているのは、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」です。2018年12月4日から始まったこのキャンペーンは、加盟店と新規ユーザーを増やすための大規模なもので、20%のボーナス付与が大きな成果を挙げました。

 私としては、最初は還元率8%の予定だったのですが、孫さんから「いやいや、200%でどうだ?」と言われました。不思議に思って、「それだと、お客様が1000円の商品を買うと、こちらが2000円相当を返すことになりますよ?」と孫さんに尋ねました。

 すると「それでいいじゃん」という答えでした。みんな絶句しましたね。

 しかし、法律の制限で還元率の上限は20%だと判明したので、結局、キャンペーンでの還元率は20%に落ち着きました。

 予算についても、私たちは数十億円を上限に考えていましたが、孫さんは「それはさすがにケチくさい。100億円ぐらいやったらいいじゃん」と提案してきました。こちらの想像をはるかに超える規模です。

 いずれにせよ、何をするにしても規模とスピードが求められました。例えば、半年かかる企画でも、孫さんから「3週間でできないの?」と問われることがよくあります。