孫正義がかつての盟友に捧げた「非常識すぎる弔辞」に込められた真意Photo:JIJI(孫正義氏)/Photo by Motoyuki Ishibashi(川邊健太郎氏)

想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第18回。対談相手は、長年にわたって孫正義の経営を近くで見続けたLINEヤフー会長の川邊健太郎氏。孫氏と共にヤフージャパンを創業し、川邊氏が経営の基本を学びとった井上雅博氏が語った「真面目な人間の盲点」とは。さらに孫氏が井上氏の葬儀で読み上げた“非常識的”な弔辞に川邊氏は驚いたと言います。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

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孫正義がかつての盟友に捧げた「非常識すぎる弔辞」に込められた真意
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「ほとんどが儲かる夢だね」
川邊氏が絶賛する孫正義の楽観力

井上 他に、孫社長がずば抜けて高い能力はありますか?

川邊 率先垂範のリーダーシップですね。自ら考え、構想し、計画し、交渉する。この率先垂範の姿勢は、すごいですね。私も様々な企業経営者を見てきましたが、孫さんは図抜けています。これがいいのか悪いのか、評価は分かれると思いますが、孫さんの仕事にはきちんと成果が出ていますから。

 現東京都副知事でヤフーの元社長だった宮坂学さんとある会議に同席していたとき、孫さんに言われたことがあります。それは「24時間、起きている間はずっと仕事について考えるのは当たり前だけど、寝ているときに見る夢の7割も仕事じゃなきゃ駄目だからな」ということです。そこまでくると、もう孫さんには全然追いつかないなと感じました。

 そこで面白かったのが、宮坂さんが「7割が仕事の夢ということですが、そのうち何割が儲かる夢で何割が損する夢ですか?」と孫さんに聞いたことです。すると、孫さんはニヤリとして「ほとんどが儲かる夢だね」と言っていました(笑)。

 やはり、リーダーはこうでなければと改めて思いました。もし「損する夢ばかりでつらいんだよ」と言われてしまったら、「本当にこの人についていって大丈夫か?」と疑問に思うでしょう。しかし、「儲かるんだ!」と楽しそうに話されたら、「こういう明るい人ならついていってもいいかな?」という気持ちになります。