孫正義の「しょんぼり反省」は演技?あえて感情を表に出す“超合理的な”理由Photo:JIJI(孫正義氏)/Photo by Motoyuki Ishibashi(川邊健太郎氏)

想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第17回。対談相手は、長年にわたって孫正義の経営を近くで見続けたLINEヤフー会長の川邊健太郎氏。人気者に共通する「感情の見せ方」厳しくても人がついてくる「リーダーシップの極意」などビジネスの現場でも役立つ知見を共有してくれた。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

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孫正義の「しょんぼり反省」は演技?あえて感情を表に出す“超合理的な”理由
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孫正義の人気を支える
「喜怒哀楽の使い方」

井上 孫正義社長と最初に出会ったのはいつですか?

川邊 1997年ごろ、東京・渋谷周辺にインターネット関連のベンチャー企業が集まる「ビットバレー」と呼ばれるブームが起こりました。そして、2000年2月には、六本木のディスコ「ヴェルファーレ」でビットバレーのイベントが開催され、2000人以上のIT関係者が集まりました。

 孫さんも海外からチャーター機で駆けつけており、そこで初めて会いました。孫さんの登場で会場は大いに盛り上がり、私も裏で名刺交換をしました。

 当時、私は大学在学中に立ち上げた電脳隊という会社で働いており、孫さんと仕事の話を少しだけしました。イベント後に会社に戻って、社員たちと「どう見てもヤバい。噂通りに24時間、仕事のことだけを考えている雰囲気だったよね」と語り合いました。

 自分たちはそこまで意識できていないことを痛感し、パッションに溢れる人との差を痛感しましたね。

井上 孫さんは、割と感情のアップダウンが激しいと思います。調子が良いときはワーッと勢いがありますが、うまくいかないとしょぼんとしてしまう、喜怒哀楽がはっきりしています。この点は、いつも冷静な川邊会長とは少し違うと感じます。

川邊 それについて、どこまで世の中に伝えていいのかという部分はありますが、やはり孫さんは演じて喜怒哀楽を出している側面もあるでしょう。