主流派じゃないからこそ、会社は変えていける
とはいえ、私はこのような局面に流されて、黙っていられるタイプではありませんでした。このとき私が感じたのは、技術系/アミノサイエンス事業出身であり、主流派とは完全に異質の経験と考え方を持つ私にしか味の素は救えないのではないかということでした。
過分な自負と言われるかもしれませんが、同質な経営集団に異論を唱えて、方向修正できるのは、私しかいないと思えたのです。
私は自分のこの考えを当時の西井社長に直接ぶつけてみることにしました。今思えば、自分の「夢」やキャリアに対するこれまでで最大にして最後のチャレンジだったと思います。
西井社長は、もともと非常にフェアに社員を評価できる人でしたので、違う事業に所属する私のような自分とは違う考えも受け入れてもらえるはずと考えていましたし、実際に受け入れてもらいました。
私は、そんな「異質」を受け入れる西井社長の姿を見て、味の素が変わっていく空気を感じました。もし、このときに西井社長が私を排除しようと考える人物だったら、今の味の素はないでしょう。