中堅企業と中小企業のキャッシュフロー
対固定資産比率の差(2022年度)

2024年は「中堅企業元年」、中小企業と同列に扱う支援制度の拡大に疑問も中堅企業と中小企業のキャッシュフロー対固定資産比率の差(2022年度) *財務省「年次別法人企業統計調査(令和4年度)」を基に日本総合研究所試算

 政府は2024年を「中堅企業元年」と位置付けた。これまで大企業とひとくくりにされ支援の対象外になることが多かった、中堅企業の成長力の強化に取り組んでいる。

 5月末には「改正産業競争力強化法」が国会で可決され、支援の対象となる中堅企業を「中小企業基本法」の中小企業の定義に該当しない従業員2000人以下の企業と法的に定めた。さらに、「賃上げ促進税制」に中堅企業の優遇枠を設ける「大規模成長投資補助金」など、中小企業だけでなく中堅企業も利用できる補助金制度を創設する、といった施策を進めている。

 政府は中堅企業を支援する理由として、中小企業と同様、地方経済における役割の大きさや、大企業との生産性格差を挙げている。中堅企業に焦点を当てた取り組みは、中小企業中心だったこれまでの企業支援政策を見直す動きであり、一定の評価はできる。