10月23日の臨時国会で所信表明演説をする岸田首相10月23日の臨時国会で所信表明演説をする岸田首相 Photo:AFP=JIJI

経済対策作りが浮き彫りにした「貧困」
本来行われるべき政策はなおざり

 岸田文雄政権は11月初旬をめどに、物価高への対応や持続的成長を目指した総合経済政策をまとめる。その詳しい内容はまだ十分には明らかになっていないが、岸田首相が強調するのは、「税収増の国民への還元」だ。

 10月20日には新たに所得減税の検討を指示し、政府与党内では来年度限りの「定額減税」が検討されている。だがいま必要なのは減税か?またこれまで論議されているものは、効果が期待できそうにないものが目立つ。本来行われるべき政策がなおざりにされ、些細なことばかりが取り上げられている。

 経済政策は、信じられないほどのレベルに低下してしまった。本当に必要とされる政策に注力しない限り、日本の経済の復活は到底、無理だと考えざるをえない。

賃上げ減税、効果ないことは実証済
経費増で税引き後利益はむしろ減る

 とりわけ経済政策の「貧困」を象徴するのが、賃上げ促進を掲げた減税だ。

 賃上げをした企業には一定の条件のもと法人税額を一定割合、特別控除する「賃上げ促進税制」は、2013年に安倍晋三政権で導入されたが、延長が繰り返され、今回、総合対策に盛り込まれることが検討されているのも、来年3月末に切れる期限の延長と拡充だ。