「客のためだろ!」と言われたとき、できるリーダーは何と言い返す?
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「客の言いなり」は不利益
「社内よりも社外から評価されたほうがいい」
そんな考え方をよく聞きます。
組織では評価されていなくても、街の人たちから愛されている警察官。
組織に逆らって患者たちに人気のお医者さん。
そのような映画やドラマの主人公を想像するかもしれません。
ただ、そんなケースは現実ではほとんど考えられません。
リーダーが考えるべきこととしては、お客さんや社会を必ず優先させるのはNGです。
これは別に、「反社会的なことをやれ!」ということではありません。
ただ、お客さんの言いなりになることではないという意味です。
「客のためだろ!」と言われたら
会社の未来、会社の存続を考えず、「この瞬間、顧客にとっての利益を最大化する」という選択をしてしまいたくなることがあります。
たとえば、「営業時間外も対応してほしい」というお客さんがいたら、どうするでしょうか。
対応しますか?
「もっと値下げしてくれ」と言われたら、そのまま値下げしますか?
そういう行動を取れば、その場ではお客さんは喜びます。
しかし、お客さんの言いなりになってしまっては、会社は存続できません。
「客のためだろ!」ということは、通用しないのです。
それに対しては、「申し訳ございませんが、他のお客様にも同じルールでやっていますので」と、言い返すしかありません。
繰り返しになりますが、長い視点で「組織の利益」を減らしてまでお客さんを喜ばせる行為は、組織の存続に関わることです。
組織が存続できなくなれば、お客さんにサービスを提供できなくなり、結果的にお客さんの利益を奪うことになります。
1人の社員が、「お客さんのためだ」と言って、組織の利益に反する行為をしてしまうのは許されることではありません。
リーダーがその姿を見て、「お客さんのために頑張っている」などと評価してしまえば、途端に組織の中はぐちゃぐちゃになります。
長期的な視点から見た上で判断するのが、リーダーの役割です。
お客さんや社会が喜ぶからといって、「組織の利益」を減らすような行動は、絶対に評価してはいけないのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年7月現在、約4300社の導入実績がある。主な著書にシリーズ140万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)がある。