バイデン米政権は11月の大統領選挙を前に、世界市場への石油の流れが滞らないようにすることでガソリン価格を安定させたい考えだ。だがこの取り組みは、敵対するロシアやイラン、ベネズエラに強硬姿勢で臨むという、もう一つの優先課題と真っ向からぶつかっている。こうした方針の下、主要産油国に対する制裁は想定よりも緩やかなものになっている。外交官や元政府当局者、さらに現政権当局者と話をしたエネルギー業界関係者はそう語る。一例として、米政府が25日に発表した新たな対イラン制裁が挙げられる。アナリストはこの措置について、イランの石油輸出のごく一部にしか影響を及ぼさず、世界市場の目詰まりを引き起こす可能性は低いと指摘する。