現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。

【医者が教える】ジム通いやランニングをしなくても「運動になる」すごい考え方Photo: Adobe Stock

「これは運動だ!」と考えるだけで効果がある

 家事をしながら家の中を歩き回ったり、肉体労働に従事したりすることは、理論上NEAT活動(睡眠、食事、スポーツやランニング、ジムトレーニングなど目的を持った運動を除いた日常的なあらゆる活動)に数えられる。

 さらに、スタンフォード大学の心理学者であるアリア・クラムの研究によれば、それを「運動だ」と考えることで、実際により高い効果が得られる可能性がある。

 クラムの研究では、ホテルで働くハウスキーパーのグループが「仕事を運動としてカウントする」と言われ、活動的なライフスタイルの基準を満たした。

 一方、対照群はそう言われなかった。

 仕事を運動としてカウントすると言われたグループは、その対照群よりもエネルギーを多く燃焼し、より健康になった。

 あなたもNEAT活動を運動だと考えよう! そうすれば、さらに高い効果が得られるかもしれない。

 NEATを増やす簡単な方法をさらにいくつか挙げてみたい。これらはすべてあなたの1日の歩数とエネルギー消費量を―時に大幅に―増やすはずだ。

1:家事でもっと身体を動かす―やるべきことが運動になる
 食事を素材から調理し、もっと熱心に掃除し、庭仕事をする。本来やるべきなのに、座って画面を見ることに「忙しく」てやっていない家事がいくらでもあるはずだ。立ち上がってこうした家事を済ませよう。

2:スクリーンタイムを減らす―時間を制限する
 テレビやコンピュータ画面を見る時間に制限を設ける。テレビをつける前に目標歩数を達成することを自分に課してもよい。

3:メディアに触れているときに身体を動かす―ながら運動でいい
 テレビを見たりポッドキャストを聴いたりしているときに、立ち上がったり、歩き回ったり、洗濯物をたたんだり、腹筋運動や腕立て伏せなどのトレーニングをしたりする。
 CM中はその場でジョギングしよう。滑稽に見えるかもしれないが、目標歩数を達成するのに大いに役に立つ。

4:もっと歩く―歩きながら他のことをする
 歩くのは簡単なのでマルチタスクができる。電話しながら歩き回ろう(ブルートゥースヘッドホンはそのためにある)。できるだけ車を使わずに歩いて用事を済まそう。

5:休憩時間に身体を動かす―椅子から立ち上がる
 授業の合間やコーヒーブレイク、伸びをして一息つくときは、座ったままメールのスクロールやチェックをするのではなく、立ち上がって動き回ろう。私は歩きながらメールを確認するコツを覚えた。

6:早起きする―より多く歩ける
 中年期の人たちのうち、早起きをする人は、夜更かしして朝寝坊する人よりも、20~30分余分に歩く傾向にあることが研究で明らかになっている。

7:あえて非効率的に行動する―わざと運動量を増やす
 買い物袋は一度にひとつずつ持って家に入る。物をひとつずつ片づけ、そのたびに階段を上り下りする。

8:食後に身体を動かす―食べてすぐ座らない
 毎食後15分間歩くことを習慣にする。

9:創造性を高めるために身体を動かす―歩きながら考える
 ブレインストーミングをしながら、あるいはひとつの問題をじっくり考えながら歩き回る。研究によると、よく歩く人はずっと座っている人よりも81~100%も創造性が高い。

10:外へ出て人と交流する―友人と運動する
 じっと座って食べたり飲んだりする代わりに、友人と散歩する。グループトレーニングや、子どもを一緒に遊ばせる約束などの行事で友人と集まるのもいい。

11:犬を散歩させる―1日の歩数が2760歩増える
 犬を飼っている人は1日当たりの歩数が多い傾向にある。ある研究によると、犬を飼っている人は飼っていない人よりも、1日当たり時間にして22分、歩数にして2760歩も多く歩いている(22)。
 また、犬を飼っている人は、週に150分という身体活動のガイドラインを満たしている割合が犬を飼っていない人の4倍にものぼる。

12:仕事やジムへはできれば徒歩か自転車で行く

13:「30分ごとに3分動く」ルールを実践する―リマインド設定する
 仕事中30分ごとに3分間身体を動かすのを忘れないように、スマートウォッチやスマートフォンにリマインド設定する。

14:できる限り階段を使う―エレベーターやエスカレーターを避ける

15:入口から遠い場所に駐車する―歩くための距離を生み出す
 食料品店などでも駐車場の奥の方に車を停める。

16:デスクで身体を動かす―職場でも運動できる
 椅子を回転させ、ウエストをねじり、腕を伸ばす。立ち上がって上下にジャンプする。スクワットやウォールシット(空気椅子)、プランクを行う。

(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)