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取り締まる法律が整備されていないためか、日本には世界各国のスパイたちが数多く潜伏しているという。情報などを盗もうとするスパイを見破る方法を、警視庁公安部外事課の所属だった元プロの著者から学ぼう。本稿は、勝丸円覚『警視庁公安捜査官 スパイハンターの知られざるリアル』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

取り締まる法律のない日本で
スパイが大手を振って闊歩する

 G7サミットに加盟しているカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ、日本の7カ国のうち、日本以外の国はスパイ活動防止法などスパイを取り締まる法律がある。

 先進国でスパイ活動防止法がないのは実際、日本だけだ。

 例えば、日本では企業の情報をプリントアウトしたり、USBに入れたりして持ち出した場合、窃盗罪や横領罪などの現行犯に近い形で捕まえないと、スパイ行為を取り締まることができない。

 スパイは大体、外交官の身分を持っている。外交官は「ウィーン条約」における「外交特権」によって派遣先の国で罪を犯しても逮捕できない。そもそも「スパイ活動防止法」がある国であっても、外交官は逮捕できないのである。

 しかしスパイ活動防止法がある国では、「お金を渡すから、資料を持ってきてくれ」と頼み、「わかりました」と了承した時点で、協力者をスパイ行為で逮捕できる。

 法律があることによって、現行犯より前の段階(そそのかし)であっても逮捕できるのである。また、スパイ活動で逮捕されると厳罰に処せられると法律で規定されることで、スパイ活動への抑止力を期待できる。

 日本の場合は、そのやり取りだけではまだ実際に何にもやっていないので、現行犯として成立しない。実際にUSBに入れて持ってきた時に現場で捕まえなければいけないので、なかなか難しいのだ。

スパイは情報源に巧みに
近づき取り込んでいく

 実際にある国から日本に送り込まれているスパイは3万人と言われている。それは外交官だけでなく、日本で働くビジネスマンもいれば、留学生もいる。

 彼らは普段、日本に住む外国人として普通に生活しているが、スパイ組織から依頼がくれば、スパイというもうひとつの顔でターゲットに接近して情報を盗みにくる。

 スパイ活動にはさまざまあり、ある特定の人物に狙いを定める場合もあれば、SNSである程度絞り込んでからダイレクトメッセージで声をかけるパターンもある。

「趣味が同じですね。今度、私たちのサークルに参加しませんか?」

 などと、共通の話題をエサにして巧みに声をかけるのだ。

 また最近多いのは、外国人女性が多く働くパブなどで、客からいろいろ会社の情報などを聞き出したり、その客の中でとくに情報が欲しい人を見つけた場合、その客が気に入った女性従業員にハニートラップを仕掛けさせたりするケースである。