2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

「明日、この人と会えなくなるかもしれない」と思って、今、目の前にいる人を大事にする

 ときどき、小学生や中学生、高校生が突発的な事故で亡くなることがあります。

 そういう事故が起きるたびに、私は、多くの人から、「なぜ、中学生がプールで溺れて亡くなったのか?」「なぜ、高校生が海で亡くならなくてはいけないのか?」といった質問を受けてきました。

 昨日まで仲良く笑顔で暮らしていた人が、突然、亡くなる。

 すると多くの人はショックを受けて、「なぜ、あの人は亡くなってしまったのだろう」「そんなに若くして亡くならなくてもいいのに……」と思います。

 もしかすると、神様はこうした事件を通して、「今、目の前にいる人は、明日、会えなくなるかもしれない」ということを教えてくれているのかもしれません。

 つまり、「今度会ったときに、楽しい時間を過ごせばいいや」と思うのではなく、「目の前の人は、いつ亡くなってしまうのかわからない。だとすれば、今、目の前にいる人を、最大限、大事にしておく必要がある」ということを神様は問いかけている気がするのです。

 仮に、今日、最大限に大事にした人が、明日、亡くなってしまっても、「自分は、最大限この人を大事にした」「もうあれ以上のことはできなかった」と思えるかもしれません。

「突発的な事故や事件」をニュースで知ったとき、人間的な感情で悲しんでもいいのですが、「悲しい」だけで終わらせてはいけないように思えるのです。

 自分の親、子ども、兄弟、友人、知人に出会ったときに、その人との関係を最大限大事にして、「明日でいいや」と思わないことが大切だと思います。

 たとえば、おじいちゃんやおばあちゃんが亡くなったとき、「おばあちゃんが、どこそこに行きたがっていたのに、連れて行ってあげられなかった」と思うと、ものすごく涙があふれてくるでしょう。

 しかし、「あそこに行きたい」と言ったら連れて行ってあげて、「ここに行きたい」と言ったら連れて行ってあげて……、というように、おばあちゃんのためにできる限りのことをして、コミュニケーションを取って、最大限、大事にしていれば、おばあちゃんが亡くなっても、取り乱したりせずに済むのではないでしょうか。

 亡くなった人を悔やんで悼んで、それで自分の心を痛めるという方法ではなく、今、目の前にいる人を最大限大事にすること、自分でできることを一所懸命やっていくことが大切なのだと思います。

 明日の人も、昨日の人も、大事にすることはできません。大事にできる人は、今日、今、目の前に存在する人だけなのです。

 明日という日は、永久にやってきません。今日寝て、朝起きたら、また「今日」です。

 常に、今日、今、目の前の人を大事にし、やるべきことをひたすら大事にやっていく……。

 人生は、ただ、それだけしかできないのだと思います。