ますます過熱する中学受験。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』が発売に。本書より抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介する。
男子校は全国の高校のうち2%だけ
私立の中高一貫校を受験すると決めて、様々な学校を眺めると、「男子校:女子校:共学校=1:1:1」くらいの印象を受けますが、この10年間で約100校の男子校・女子校の共学化が進み、実は全国の高校のうち、男子校は2.0%、女子校は5.8%、共学校は92.2%となっています(2023年)。
男子校や女子校がいいのか、共学がいいのかはよく議論されます。共学で勉強やクラスは別々の「男女別学」というカテゴリーもあります。
お子さんがすでに「共学に行きたい」「男子校(女子校)に行きたい」と言っている場合は別として、男女別の学校にするか、共学にするかというのは、学校を選ぶ際の最初の大きなポイントになります(両方を併願するパターンもあります)。
これから3回にわたり、①男子校②女子校③共学校④男女別学、それぞれのメリット、デメリットをお話ししますが、今回は男子校について紹介したいと思います。
「男子校」は子どもが委縮せず本来の自分を出して過ごせる学校が多い
男子校の生徒は、本当にのびのびしています。バカができるし、バンカラにもなれるし、友達と下ネタで盛り上がれる。カリキュラムも、男子のあり余る体力を発散させるように組まれています。
もちろん、勉強だけを重んじる予備校のような男子校もあるのですが、総じて子どもが萎縮せず、本来の自分を出して6年間が過ごせる学校が多いのが特徴です。先生も、生徒に腹を割って話しやすいので、厳しい指導もその中で生きてくるのが男子校のいいところです。
男子校を目指す男の子に「どうして男子校なの?」と聞くと、「女子が怖いから」という子が結構な人数いるのに驚かされます。
「聖学院(東京都)」は、学校説明会で校長が「小学校で女子にいじめられている気の弱い男の子は、ぜひ来てください。うちでちゃんとのびのびさせますから」と話すほどで、気の弱い男子(!?)をたくましく育てるためのカリキュラムが、海外研修なども含めしっかり組まれています。
また、「鎌倉学園(神奈川県)」は一日5回バカ笑いができるバンカラ校です。いつも遅刻してくる生徒がおり、問い詰めたところ、「敷地内の山の中でテントを張って自分たちで朝会をしていた」というような、いかにも男子らしい話がたくさんあります。
一方、男子校のデメリットは、女子との距離感がつかめなくなることだとよく言われます。明治大学の諸富祥彦教授は著書『明治大学で教える「婚育」の授業』(青春出版社)の中で「大学1、2年生で彼女がいる割合は、共学出身の男子40%、男子校出身の男子9%」と示しており、この差は大学3年生以降で埋まるそうです。ただ、男子校の説明会では「彼女ができるかどうかは男子校、共学校は関係なく、本人次第」とおっしゃる先生が大半のようではありますが…。
また、容姿や身だしなみに気を使わなくなる点もデメリットとして挙げられます。多くの男子は、それが本来の姿ではありますが……。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。