老後の一人暮らしで「幸せになる人」と「不幸になる人」を分ける2つのポイント株式会社GoodService代表・山村秀炯(やまむら しゅうけい)氏の著書『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)

 退院後に家に戻ると、庭は荒れ放題でした。その光景を見て「ひとり暮らしはもう無理だ」と痛感し、老人ホームへの入居と家の処分を決めたのだそうです。

 長く暮らした家には愛着もあったでしょうし、勝手知ったる土地から移るのは不安もあったでしょう。それでも、自分ではどうにもならなくなる前に、自分で住み替えを決めたのです。

 また別の女性は、趣味で集めた着物や食器をどんどん処分しています。私が見ていて「ああ! もったいない……」と思ってしまうほどの思い切りのよさです。

 きっかけは、まだ元気とはいえ「もう以前のように体が動かない」と自覚したこと。だからいまのうちに自分の望むように処分しておきたいのです。

 コレクションの中には値打ちがあるものもあります。しかし、もしこのまま相続財産になってしまうと、価値をよく理解していない遺族に渡ってしまう可能性があります。それは本望ではないし、作品にとっても不幸なことだと彼女は考えていました。そこで、値打ちがわかる仲間や友達に譲り、使ってもらったほうがよいというわけです。

 ひとりは自由だし、誰からも指図されない。だからこそ、自分の意思で決められることは決めておく。これができる人は自分の人生に納得して、幸せに生きているように思えます。

 あなたが理想とするのはどんな「おひとりさま」でしょうか?