年金のパフォーマンスは結婚がお得
最後に健康保険料と厚生年金保険料を合計した社会保険料(東京都 協会けんぽ)を比較してみましょう。
会社員の場合、扶養家族が増えたとしても、その分の保険料を支払う必要はありません。
ということで、独身でも夫婦でも社会保険料は105万3144円で同じです。同じ金額で2人分の社会保障が得られるのですから、たいへんお得な制度といえます。
言い換えれば、会社員の妻は年金保険料を納めなくても、65歳から亡くなるまで毎月5~6万円(平均受取額を参考)の老齢基礎年金受給者として受け取ることができるのです。これは国民年金保険料を支払ってきた人と(加入期間が同じであれば)同額となります。
男性も女性も、独身でフリーターをしている場合には、年間20万円弱の国民年金保険料と、所得に応じた国民健康保険の保険料を自分で支払っていかねばなりませんが、結婚して会社員の扶養家族となると、国民年金も健康保険も保険料を支払う必要がなくなります。
もちろん、病気やケガのときには会社員の夫もしくは妻の健康保険を使って医療機関を受診できます。子どもも同様です。つまり、ひとり分の健康保険料で妻子など世帯全員の健康保険をまかなうことができるのです。年収や年齢などの条件を満たせば、扶養している親などもここに含めることができます。
ちなみに、以上の説明は、会社員の扶養家族となった場合だけであり、妻も働いていて年収が130万円以上ある場合や、自営業(個人事業主)やフリーランスの扶養家族の場合には当てはまりません。その場合は、国民年金も国民健康保険も妻の分を支払うことになります。
では、実際に65歳からもらえる毎月の年金額(老齢年金受給権者平均年金月額)を世帯別に見てみましょう。
夫婦共働きの会社員の場合、もらえる年金額は世帯合計で約27万円です。2人分の年金保険料を支払ってきたのですから、当然といえる金額です。
会社員と扶養家族(専業主婦)世帯の場合、その金額は共働きの場合よりも少なくなって、約22万円です。しかし、支払ってきた年金保険料はひとり分ですから、かなりお得です。
次に、夫婦ともに自営業の世帯の場合は、支払ってきた国民年金保険料は2人分ですが、国民年金だけなので、世帯合計でも約11万円にしかなりません。会社員の場合は、国民年金に上乗せして、会社が保険料を半分負担してくれる厚生年金に加入しますが、自営業の場合はそのような公的年金の仕組みがないからです。
おひとりさまの場合はどうなるでしょうか。