日本の税制は子育て世帯に有利

 次に税金について考えてみましょう。

 日本の制度は、独身者よりも夫婦、夫婦よりも子育て世帯のほうに優しくなっています。政府としては、国民にどんどん結婚して子どもを作ってもらいたいので、当然の措置といえるでしょう。

 実際に、どのような違いがあるのでしょうか。

 総務省の「家計調査年報(家計収支編)二人以上の世帯」の2022年調査によれば、夫のみが働いている専業主婦世帯の平均年収は677万520円ですから、世帯年収700万円と仮定してみましょう。

 年収700万円の会社員が独身でいた場合と、専業主婦を持った場合との税金を比較します。

 独身の場合、給与所得控除後の金額が520万円となり、ここから基礎控除48万円と社会保険料控除約105万円を引いて、課税所得は367万円になります。

 この場合、所得税の税率は20%なので、次のような計算になります(平成25年から令和1年までの各年分の確定申告では所得税と復興特別所得税を併せて申告・納付することとなりますが、ここでは便宜上含まれていません)。

所得税:367万円×0.2-42万7500円=30万6500円

 また、東京都の場合の住民税は以下のようになります。

所得割:(520万円-105万円-43万円)×10%=37.2万円
均等割:4000円+1000円=5000円
住民税:37.2万円+5000円-2500円=37万4500円

つまり、所得税と住民税を合わせた税金総額は68万1000円です。

 一方、夫婦の場合は、専業主婦が扶養家族となって配偶者控除があるので、課税所得は334万円となります。

所得税:334万円×0.2-42万7500円=24万500円
住民税:33.9万円+5000円-2500円=34万1500円

 つまり、所得税と住民税との合計は58万2000円となります。

 結婚して扶養の配偶者がひとり増えるだけで、税金は約10万円安くなります。